前橋フィールドミュージアム

おうちでミュージアム①

王山古墳の大刀形ハニワ

前橋市総社歴史資料館

 新型コロナウィルス感染拡大防止のため、現在市内の展示施設は休館しています。せっかくの資料も眠ったままではもったいないので、本館で展示している「ゼヒ見てほしい!」資料をご紹介したいと思います。今回ご紹介するのは、王山古墳から出土した大刀形埴輪(たちがたはにわ)です。

 王山古墳は、前橋市西部の大渡町にある6世紀初頭に造られた古墳で、現在の利根川の西岸に広がる総社古墳群の一つです。昭和40年代に発掘調査が行われ、墳丘の大きさが75.6mもの大型の前方後円墳であったことが分かりました。古墳の残りが非常に良く、墳丘には河原石をふんだんに使ってきれいに葺石を葺いていました。

 出土した大刀形埴輪は、刀の柄(つか)の部分が残っており、墳丘中段に転げ落ちた状態で出土しました。柄の外側に、手の甲を守るための帯が付き、帯には三輪玉(みわだま)と呼ばれる飾りが施された「玉纏大刀(たままきのたち)」という刀を模しています。埴輪の柄頭(つかがしら)には、部品が取れた跡があることから、この部分に取り付けられた半円形の飾りも表現していたと考えられます。この埴輪は、柄の部分だけでも60cmを超えていて、全体では1.5mほどの大きさだったと考えられます。後円部の中段で、盾形埴輪(たてがたはにわ)とともに出土しているため、築造当時は後円部のへりに大刀と盾が交互に立てられていたのでしょう。古墳に安置された王の眠りを守ろうとする強い思いが見て取れます。

 王山古墳では埋葬施設に横穴式石室(よこあなしきせきしつ)を用いています。横穴式石室は、当時畿内で広く導入された埋葬施設であり、王山古墳の主は、当時中央地域で流行していた埋葬方法をいち早く取り入れ、畿内とのつながりを持った有力豪族だったと考えられます。

 開館したら、ぜひ一度実物を間近でご覧ください♪