市教育委員会では、前橋市都市計画事業元総社蒼海土地区画整理事業に伴う発掘調査を、26年にわたって行っています。
令和7年度は、6地点で調査を予定しています。
今回は、調査区2区の調査状況を報告します。
【遺跡の情報】
遺跡名:元総社蒼海遺跡群(153)2区
調査場所:前橋市元総社町地内
調査予定面積:217㎡
調査期間:令和7年6月25日~8月4日
「発掘風景」
【住居】
今回の調査では、計4軒の住居が確認されました。(4号住居は欠番)
2号住居と3号住居については、重複して検出されました。発掘調査では、今回のように、遺構どうしが重なって見つかることがしばしばあります。このような場合は、土の色の違いや軽石など混ざっている含有物の特徴など、土を観察することで、遺構がつくられた順序を推測することができます。 調査の結果、2号住居が使われなくなった後、2号住居の跡地に重なるように3号住居が作られたことが分かりました。
また、住居が営まれていた年代は、出土した遺物の特徴などから推測することができます。
1号、2号、5号住居については、6世紀後半から7世紀前半に使われたものであると考えられます。3号住居については、出土した遺物が少なく特定できませんが、7世紀前半以降に作られたと思われます。
「2区全景(右が北)」
【出土遺物】
各住居からは、当時この住居で生活していた人々が使用した土師器や須恵器などの遺物が多数出土しました。
5号住居からは、須恵器の横瓶(よこべ)の一部が見つかりました。横瓶は、6世紀から登場する須恵器の器形の一種で、丸みを帯びた横長の胴部に、中身を注ぐための口がついているのが特徴です。主に酒などの液体を入れて使われたと考えられています。
「1号住居遺物出土状況」
「5号住居出土 横瓶」
【まとめ】
今回の調査では、住居の様子(痕跡)と遺物から、 当地に住んでいた人々の生活の一端をうかがい知ることができました。今後は、他の調査区の発掘調査と並行して、出土した遺物の調査を継続します。
8月25日現在、3区の調査に着手しています。
次回の報告をお楽しみに!