市文化財保護課では、前橋市都市計画事業元総社蒼海土地区画整理事業に伴う発掘調査を、26年にわたって行っています。
令和7年度は、6地点で調査を予定しています。
今回は、調査区1区の調査状況を報告します。
【遺跡の情報】
遺跡名:元総社蒼海遺跡群(153)1区
調査場所:前橋市元総社町地内
調査予定面積:64㎡
調査期間:令和7年5月29日~7月10日
「発掘風景」
【井戸】
今回の調査では、計3基の井戸が見つかりましたが、その中で一番大きな井戸をご紹介します。令和5年度に実施した元総社蒼海遺跡群(148)発掘調査で見つかった井戸(I-1)と同じもので、この時は、井戸の中から投棄された五輪塔が見つかっています。今回の調査では、北東側の一部が見つかりました。
「井戸(I-1)の全景写真」
【ピット(柱穴)】
今回の調査では、100基以上のピット(柱穴)が確認されました。これは、建物を立てる際に地面を掘り、柱を立てた痕跡と考えられます。ピット同士の位置関係を観察することで、当時の建物の配置や規模を推測することが可能です。
また、あるピットからは、銭貨1点(熙寧元寳ヵ)が見つかりました。
銭貨は、種類ごとに作られた年代が分かっているため、出土した遺跡の年代を推定する重要な手がかりとなります。したがって、非常に価値の高い遺物と言えます。
「全景(南から)」
※白線で囲っている部分:遺構
※破線で囲っている部分:かく乱(後世に遺跡が壊された部分)
「銭貨」
【まとめ】
今回の調査では、建物に関する遺構をたくさん確認することができました。遺構を一つずつ注意深く調査することで、当時の人々の暮らしの様子の解明につながります。
7月10日現在、2区の調査に着手しています。
次回の報告をお楽しみに!