前橋市文化財保護課では、市内各地で遺跡の発掘調査を行っています。
今回は「元総社蒼海遺跡群(152)」から1区の調査状況をご紹介します。
【遺跡の情報】
遺跡名:元総社蒼海遺跡群(152)
調査場所:前橋市元総社町地内
調査予定面積:258㎡
調査予定期間:令和6年6月17日~8月下旬
主な時代:平安時代
【遺跡の概要】
前橋市文化財保護課では、前橋市都市計画事業元総社蒼海土地区画整理事業に伴う発掘調査を、実施年度で25年にわたり行っています。今年度は元総社市民サービスセンター西側の牛池川右岸(1区)、県道127号足門前橋線の北側(2区)の2地点の調査を予定しています。
1区では、竪穴建物跡5件、土坑8基、ピット1基が検出しています。竪穴建物跡の時期は最も古いもので7世紀初頭ですが、主な時期は10~11世紀前半になります。
特筆すべき出土遺物として、1号竪穴建物跡からは鉄製鍬先(てつせいくわさき)が出土しました。これはU字にえぐれた部分に木製の柄をはめ込む風呂鍬(ふろくわ)と呼ばれるものです。周辺では関越自動車道建設に伴う発掘調査で2点、令和4年度国府調査で1点、他に市内では富士見町の上百駄山遺跡(かみひゃくだやまいせき)で1点確認されています。
1区の調査は7月上旬に終了して、現在は2区の調査に着手していますが、その状況についてはまた次回お知らせします。
1区調査区全景(西から撮影)
H-1号竪穴建物跡全景(西から撮影)。貯蔵穴(ちょぞうけつ)付近から鉄製鍬先が出土しました。
出土した鉄製鍬先。ほぼ完全な形ですが、周りはサビに覆われています。
H-2号竪穴建物跡カマド掘り方(西から撮影)断面を縦にカットしたものです。石を組んでカマドを構築していることがわかります。