前橋市文化財保護課では、市内各地で遺跡の発掘調査を行っています。
今回は「令和6年度上野国府等範囲内容確認調査」から、6月の調査状況をご紹介します。
【遺跡の情報】
遺跡名:推定上野国府跡
調査場所:前橋市元総社町地内
調査予定面積:640㎡
調査予定期間:令和6年6月10日~同年12月下旬
調査原因:範囲内容確認調査
主な時代:古代、中世
【遺跡の概要】
前橋市文化財保護課では、「上野国府」(現在の群馬県庁に相当する古代の役所)があったと推定されている前橋市元総社町で、その実態解明のための発掘調査を断続的に実施しています。
昨年度に引き続き今年度も、古代の役所に関連すると考えられる建物跡が多数見つかっている元総社町の宮鍋神社(みやなべじんじゃ)周辺で発掘調査を実施しています。
今年度は宮鍋神社の南西150メートルほどの地点に調査区(87トレンチ)を設定し、6月10日から調査を開始しました。6月末時点で、竪穴建物跡4軒のほか溝跡や土坑などを検出していますが、今のところ古代の役所に関係する遺構は確認できていません。
調査区の南端で検出された遺構は、蒼海城の堀跡と考えられるもので、東西に走行し、深さは2メートル以上もあります。蒼海城は中世に築城された県内最古級の城郭で、調査区の北西約150メートルの地点には本丸があったと言われています。
今回の調査で検出した溝の北側壁面はかなりの急斜面で、人が登るのはとても難しい形状をしています。周辺でも同様の堀跡が多数検出されており、これらの堀跡は、城の防御施設としての機能を有していたと思われます。
7月上旬には竪穴建物などの各遺構の掘り下げが完了する予定ですので、その状況についてはまた次回お知らせします。
蒼海城の堀跡の全景(西から撮影)。写真手前の深くなっている部分で、堀跡の埋まり方や底面の状況を確認しました。
蒼海城の堀跡の断面(東から撮影)。北側の壁がほぼ垂直に掘られているのが分かります。