令和5年度、市文化財保護課では、元総社町蒼海地区にて発掘調査を合計6か所行いました。調査の結果、古墳時代から平安時代の集落跡、中世に栄えた蒼海城の堀跡等を検出し、大きな成果を上げることが出来ました。
今回は、特に遺構が多く検出された調査区4区を中心として、主要な調査成果をご紹介します。
4区調査区全景(上が北)
○古墳時代の集落跡
4区では、古墳時代の竪穴建物跡を合計20軒検出し、当時この場所で多くの人々が生活していたことがわかりました。中には、一辺約8mを測る大きなもの(H-6号竪穴建物跡)もありました。
4区H-6号竪穴建物跡全景(西から)
4区H-4号竪穴建物跡全景(南西から)
4区H-19号竪穴建物跡から出土した遺物
○焼失住居(4区H-7号竪穴建物跡)
古墳時代の集落跡の中に、火事で焼け落ちてしまったものと見られる竪穴建物跡を1軒発見しました。壁や屋根などが燃え落ちたことで出た灰や煤が床一面に広がって黒くなっていました。火を受けたことでところどころ赤く変色している部分もあります。また、建物を支えていた梁や柱などに使われていたと考えられる太い木材が炭となって残っているものも見つかりました。
焼け残り炭化した木材
H-7号竪穴建物跡から出土した土器群
床面に広がった煤や火を受けて赤く変色した焼土
○蒼海城堀跡
今年度の調査では、1区と4区で蒼海城の堀跡を発見し、4区では幅10mを超える大きな溝跡(W-1号溝跡)を検出しました。蒼海城の堀は蒼海地区全体に縦横無尽に掘り廻らされており、W-1号溝跡は2m以上掘り下げてもまだ底に到達しないほど深いものであることがわかりました。
蒼海城堀跡(4区W-1号溝跡)(上が西)