前橋フィールドミュージアム

令和5年度「推定上野国府跡(82・83・84・85・86トレンチ)」発掘調査結果のご紹介

前橋市文化財保護課

前橋市文化財保護課では,市内各地で遺跡の発掘調査を行っています。

今回は,令和5年度に実施した「推定上野国府跡(8283848586トレンチ)」の発掘調査の結果をご紹介します。

 

【遺跡の基本情報】

遺跡名 :推定上野国府跡(8283848586トレンチ)

調査場所:前橋市元総社町地内

調査期間:令和5531日~令和615

調査原因:上野国府等範囲内容確認調査

主な時代:古墳時代,古代,中世

 

【発掘調査結果の概要】

前橋市文化財保護課では,「上野国府」(現在の群馬県庁に相当する古代の役所)があったと推定されている前橋市元総社町で,その実態解明のための発掘調査を継続的に実施しています。

令和5年度は,元総社町の宮鍋神社(みやなべじんじゃ)周辺で発掘調査を実施しましたので,その結果をお知らせします。

宮鍋神社周辺では,古代の役所に関連すると考えられる建物跡が多数見つかっています。

 

8283トレンチでは,令和元年度の発掘調査で確認されていた礎石建物(そせきたてもの)跡の一部が検出されました。礎石建物跡は古代の役所に関連する施設と考えられており,今回の調査によってこの礎石建物跡の大きさや造られ方などを把握することができました。

 

84トレンチでは,役所の範囲を区切っていた「区画溝」と呼ばれる大きな溝の一部が検出されたほか,この区画溝と交差して役所関連施設の方へ向かう浅い溝も検出されました。この浅い溝は区画溝を埋め立てて造られており,役所へ入るための道路であった可能性があります。

 

8586トレンチでは,残念ながら古代の役所に関係するような遺構を検出することはできませんでしたが,中世のものとみられる大規模な溝跡が確認されました。これは中世にこの地に存在した蒼海城と呼ばれる城の堀跡であるとみられます。また85トレンチでは,古墳時代の終わり頃のものとみられる竪穴建物跡が検出され,多くの土器が出土しました。

 

83トレンチ 白線より道路側が礎石建物跡です。後の時代の遺構に壊されている部分も多くありました。

 

84トレンチ 白線の間が区画溝,点線の内側が道路跡です。交差している様子がわかります。

 

84トレンチ 区画溝と道路跡の交差部分です。区画溝(白線)を埋め立てて道路(点線)が通っている様子がわかります。

 

85トレンチ 竪穴建物跡から土器が出土した様子です。甕(かめ)や坏(つき)などが多数出土しました。

 

86トレンチ 蒼海城の堀跡です。この堀はとても深いため,段をつくりながら発掘しました。